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白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

   1943年2月のドイツ、ミュンヘンでヒトラーの政策に反対し戦争終結を訴える非暴力的レジスタンス“白バラ”の紅一点ゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、兄ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)と共に大学でビラを撒いた罪で、ゲシュタポに捕らえられてしまう。ベテラン尋問官モーア(アレクサンダー・ヘルト)に対し、彼女は冷静を装い、自分の無実を主張するが…。
   ナチス・ドイツ政権に抵抗し、処刑された女学生ゾフィー・ショルの勇気を描いたメルク・ローテムント監督によるヒューマン映画の秀作。いわゆる悲劇と感動の戦争実録秘話ものに留まらず、ヒロインと尋問官との心理的駆け引きなどのサスペンス構築も非常にスリリングにできており、映画そのものとして大いに評価できる逸品である。また同時期に製作された『ヒトラー 最期の12日間』と対にして観ることで、当時のドイツが置かれていた状況も、より深く見えてくることだろう。必見。(増當竜也)
  • 見事な演出、そして真実の重み
    舞台は1945年、ミュンヘンである。フランスの様な反戦の地下活動などが無かったドイツでも、ミュンヘン大学の学生や教員を中心に平和と反ナチスを願う「白バラ」という名前のグループがあった。非暴力的に反戦のビラをまいているところをゲシュタポに見つかり、投獄される兄姉、彼らはミュンヘン大学の医学部と社会学部の学生である。息をのむような取調官とのやりとり、牢屋の中で空を眺め、終戦を願うゾフィー、彼女を精神的に支えてくれる看守。この国は全てが狂っていた。その中で、正義を貫こうとした人々の勇気に感動する。なによりも、これは事実であるということである。その後、このビラの噂は世界に流れ、連合国軍によりドイツ中に蒔かれたと記録されている。ミュンヘンに行く機会があったら、回る時計で有名な市庁舎や教会を抜けて、20分ほど歩くとミュンヘン大学へ到着する(正式にはルードイッヒ・マキシミラン大学)。この構内には犠牲者たちのレリーフがあり、その前には毎日、新鮮な白バラが生けられている。
  • 無題
    権力の恐ろしさがよく描けています。食欲がなくなるくらいのインパクトはあります。ただ2度見たいとは思いません。それだけ記憶に残ったということですが。
  • 余計なものを省いた演出が効果的な傑作
    史実であるがゆえに、映画では多少の脚色もあるでしょう。

    しかしながら、余分なものをそぎ落とし、逮捕、尋問と自白、そして裁判から処刑へと、
    物語は淡々と、まるでドキュメンタリーをみているかのような緊迫感を保ちながらこの映画は幕を閉じます。

    個人的には、先述のとおり、余分なエピソードや音楽、そして陳腐なセリフで感動を盛り上げたりするよりは、
    ただただ史実をありのままに伝えよう、とするこの映画のスタンスがとても気に入りました。
    「気に入った」と書くと御幣がありますが、

    ゾフィーのたった数日間を描いたこの映画は、どんな言葉よりも、
    映画だからこそ表現しうえる説得力があります。
    映画の持つ力を改めて思い知らされた傑作です。
  • いささかドイツ人向けかな?
    白バラとして知られる、ナチス抗議運動にたずさわった学生の運命を描いた作品。
    ナチス時代の空気、彼らの活動の意味を観客はとうに知っているという前提で話が
    進むので、あの時代のドイツにまるで関心のない日本人にはわからない場面が
    多いと思う。

    しかし、無力な市民でありながら自らの良心を貫き通した若者の最期を描いた
    劇映画としては、非常に良くできている。彼らには信念があっても恐れもあり、
    あっという間に処刑される場面では恐怖心がむき出しになる。それでも頭を上げて
    歩いていく姿には、一映画観客としても感動する以外になかった。
  • ナチスの裁判官や協力者たちのほうが現代的な視点で見ると「非常に滑稽」だという話。
    ナチスに反抗した人々の話は聞きますが、大抵は非ドイツ人の方の話でした。
    で、この映画でナチスに反旗を翻すのは「ヒトラーと同じアーリア人たち」です。

    当然なんですが、全てのドイツ人たちが当時のヒトラー率いるナチスを支持していたわけではなく、良識ある人たちはナチスが政権を獲得した1930年代前半から「ヒトラーは祖国を滅ぼす」と、警鐘を鳴らし続けていたのです。
    この作品に登場する「白バラ」と呼ばれるレジスタンスが行っていた活動は・・・武力を用いた破壊活動ではなく、言論の自由を説いたビラやお手紙によって国民に厭戦気分を蔓延させて、戦争を終結に導こうという「リスクが高い割に、あまり効果が望めそうに無い、極めて地味な活動」でした。
    その組織の中心人物であった女性「ゾフィー」とその兄が、いかにして秘密警察に逮捕され、処刑されたかを残された当時の裁判記録や生存者の証言から、出来うる限り忠実に再現したドキュメント映画です。

    ソ連との戦いでドイツの旗色が悪くなり始めた1943年に彼等は自らが学んでいた大学のキャンパスでナチスを批判したビラを撒く計画を立てます。
    なんで真昼間の大学にのこのこ出掛けていって、見付かるリスクが高いのにそんなことをしようとしたのかが謎です。実際、打ち合わせでも「危険だ」と反対意見が上がっていたにも関わらず、結局ゾフィー兄妹が実行することになってしまう。
    講義中の誰もいない時間を見計らって、あちこちにビラを置いて回る2人。なんとか成功しそうと、大学を立ち去ろうとするのですが、持ってきたトランクの中にまだビラが残ってたということで、もうすぐ授業が終わりそうなのに危険を冒してもう一度校内に戻ってしまいます。

    ・・・案の定、それが命取りになります。親ナチスの大学側に見付かって秘密警察に連行される。
    最初は上手く「無関係を主張し、一時は釈放までこぎ付けた」のですが、自宅を捜索されて決定的な証拠をつかまれてしまう。
    芋蔓式に逮捕された仲間と共に尋問を受け、数日後には法廷に引き出されるゾフィー。
    こんな裁判は「茶番」の名が相応しく、最初から「処刑が決まっていた」ため、弁護人は全く弁護をしないし、裁判官は被告に聞くに堪えないような「罵詈雑言」を浴びせ掛けます。

    そんな中にあって、ナチスの暴虐を真っ向から批判するゾフィー。
    死を覚悟した彼女は毅然とした態度で、むしろ喚き散らすナチスの協力者たちのほうが滑稽に見えるというのが皮肉です。
    なんと刑は即日実行され、裁判のあった日の夕方には斬首されたのです。
    逮捕されてからわずか「5日後」であったと言います。

    彼女の勇気・信念は確かに立派なものです。
    けれど、逮捕される過程を見るに「あまりにも迂闊」と言わざろうえません。
    それ程の信念と理想と良心を持っていたのなら、もっと慎重に行動しても良かったはずです。
    この事件では多くの関係者が逮捕され、処刑されたり懲役刑を受けたりしたわけで、彼女たちだけが死ねばそれでおしまい・・・ではなかったのです。

    後にヒトラーに命懸けで反抗した彼女は「聖人に列せられた」のですが、巻きぞいで運命が変わってしまった多くの人たちが彼女たち兄妹を怨んでいなかったと考えるのは、あまりに都合が良すぎかと思います。

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